急性毒性
経口
ラットのLD50値として、9,900 mg/kg との報告 (環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012)、SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2001)) に基づき、區(qū)分外とした。
経皮
ウサギのLD50値として、> 10,000 mg/kg との報告 (環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012)、SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2001)) に基づき、區(qū)分外とした。
吸入:ガス
GHSの定義における液體である。
吸入:蒸気
データ不足のため分類できない。分類ガイダンスに従い、舊分類のモルモットのデータは不採用として、區(qū)分を見直した。
吸入:粉じん及びミスト
ラットのLC50値 (4時間) (OECD TG 403) として、0.434 mg/L との報告 (SIDS (2007)) に基づき、區(qū)分2とした。なお、試験はエアロゾルで行われたとの記載、及びLC50値が飽和蒸気圧濃度 (0.002 ppm) より高いため、ミストの基準値を適用した。新たな情報源 (SIDS (2007)) を追加し、區(qū)分を見直した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) 2件で、浮腫や紅斑がみられ、一次刺激性スコアはそれぞれ4.2及び3.6であったことから中等度の刺激性と判斷されている (SIDS (2007))。また、ウサギを用いた皮膚刺激性試験の結果、重度の皮膚刺激性を示したとの報告や、モルモットを用いた皮膚刺激性試験の結果、強度の紅斑と浮腫がみられたとの報告があるが、回復性については記載がない (ACGIH (7th, 2001)) 。以上、テストガイドラインに準拠した試験の結果から區(qū)分2とした。SIDS (2007) の情報を追加し、區(qū)分を変更した 。なお、本物質はEU DSD分類において「Xi; R38」、EU CLP分類で「Skin Irrit. 2 H315」に分類されている。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405) 2件の報告がある。一方の試験において一次刺激性スコアは3.0 (洗浄群) であり、適用後8日目まで軽度の結膜炎がみられたことから、刺激性ありと判斷されている (SIDS (2007)) 。もう一方の試験において、一次刺激性スコアは0.4 (洗浄群) であり、軽度の刺激性がみられたが72時間後には回復している (SIDS (2007))。本物質は眼に対して強度の刺激性を持つとの記載がある (ACGIH (7th, 2001))。以上、テストガイドラインに準拠した試験で適用8日後に癥狀が完全に回復していないことや、「強度の刺激性」との記載があることから、區(qū)分2Aとした。 なお、本物質はEU DSD分類において「Xi; R36」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2」に分類されている。
呼吸器感作性
データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いた吸入ばく露試験において本物質が弱い気道感作性をもつ (SIDS (2007)) との記載があるが、確立された評価方法ではないため分類の根拠とするには不十分なデータと判斷した。また、本物質のばく露によって気道感作が起こるのは極めてまれであるとの記載がある (環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012))。本物質はEU DSD分類で「R42」、EU CLP分類で「Resp. Sens. 1 H334」と判斷されている。
皮膚感作性
ヒトでのパッチテストで、本物質に対して陽性反応を示した例が複數報告されている (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2001)、環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012))。また、モルモットを用いた皮膚感作性試験 (OECD TG 406に類似) 2件において、感作性はみられなかったとの報告がある (SIDS (2007)) が、ビューラー法など別の試験では、感作性陽性と判斷されている (SIDS (2007)、ACGIH (7th, 2001))。 以上、ヒトと動物で陽性の結果があることから、區(qū)分1とした。なお、本物質はEU DSD分類で「R43」、EU CLP分類で「Skin Sens. 1 H317」と判斷されている。
生殖細胞変異原性
データ不足のため分類できない。In vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養(yǎng)細胞の染色體異常試験で陰性である(環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012)、SIDS (2007)、HSDB (Access on September 2014))。
発がん性
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
ラットを用いた吸入経路での簡易生殖毒性試験 (TG 421) において、親動物毒性 (雄で死亡 (1/12例)、雌で切迫屠殺(1/12例)、呼吸器癥狀、漿液性鼻汁) がみられる用量において受精率の低下がみられたが、発生影響はみられていない (SIDS (2007)、環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012))。 雌ラットを用いた吸入経路での催奇形性試験 (TG 414) において、母動物毒性 (気道刺激、體重増加抑制) がみられる用量で、胎児に心室中隔欠損、側脳室の軽微な拡張が正常範囲よりもわずかに増加したとの報告がある (SIDS (2007)、環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012))。 舊分類では情報が得られず分類できないとされていたが、新たな情報が得られ、以上のように親動物毒性がみられる用量で受精率の低下、胎児毒性 (心室中隔欠損、側脳室の軽微な拡張) がみられたことから區(qū)分2に分類した。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
本物質は、ヒト及び実験動物に気道刺激性がある (環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2001)、SIDS (2007))。実験動物では、ラットの吸入ばく露 (0.21 mg/L、5時間) で振戦及び痙攣を伴う著しい呼吸器刺激性及び肺の重度のうっ血と水腫 (ACGIH (7th, 2001))、気道への影響として流涎、緩徐呼吸、喘鳴、経口投與で重篤な下痢、食欲不振、衰弱の報告がある (SIDS (2007)、HSDB (Access on September 2014)。以上、中樞神経系への影響、呼吸器への影響は區(qū)分1のガイダンス値の範囲の用量で認められた。以上より、區(qū)分1 (中樞神経系、呼吸器) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ヒトでの反復ばく露による有害性の知見はない。実験動物ではラットに本物質 (蒸気と推定) を4週間吸入ばく露した試験において、區(qū)分1該當濃度 (6-36 mg/m3: ガイダンス値換算: 0.0018-0.011 mg/L/6時間) において、呼吸器癥狀 (鼻汁分泌、努力呼吸、呼吸困難、喘鳴)、肺重量増加、鼻腔から気管支に及ぶ扁平上皮化生、鼻腔及び肺の細気管支-肺胞領域における炎癥性変化、肺胞中隔の肥厚など組織変化がみられたが、呼吸器以外の臓器に病理組織所見はみられず、影響は呼吸器に限定的であった (SIDS (2007)、環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012))。同様に、ラットに本物質を吸入ばく露した簡易生殖毒性試験 (OECD TG 421) においても、親動物の雌雄に呼吸器への刺激癥狀及び肺重量の増加が區(qū)分1に相當する濃度範囲で認められている (SIDS (2007)、環(huán)境省リスク評価第10巻 (2012))。 以上より、區(qū)分1 (呼吸器) とした。なお、舊分類時以降にSIDS (2007) 等が発行されたため、今回、分類が可能となった。
吸引性呼吸器有害性
データ不足のため分類できない。