急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(9)より、(1)の知見が區(qū)分3上限付近であること、その他の知見が區(qū)分4範(fàn)囲であることから総合的に判斷し、區(qū)分4とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50:294 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)) (2)ラット(雌)のLD50:565 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)) (3)ラット(雄)のLD50:694 mg/kg(SIAR (2002)) (4)ラット(雌)のLD50:664 mg/kg(SIAR (2002)) (5)ラットのLD50:530 mg/kg(ACGIH (7th, 2001)) (6)ラットのLD50:420 mg/kg(DFG MAK (1992)、厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991)) (7)ラットのLD50:650 mg/kg(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991)) (8)ラット(雄)のLD50:860 mg/kg(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991)) (9)ラット(雌)のLD50:680 mg/kg(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991))
経皮
【分類根拠】 (1)~(7)より、有害性の高い區(qū)分を採用し、區(qū)分3とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50:750 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)) (2)ラット(雌)のLD50:1,722 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)) (3)ウサギ(雄)のLD50:3,550 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)) (4)ウサギ(雌)のLD50:2,510 mg/kg(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)) (5)ウサギのLD50:> 3,040 mg/kg(ACGIH (7th, 2001)) (6)ウサギのLD50:2,000~3,160 mg/kg(CERI有害性評価書 (2008))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固體であり、區(qū)分に該當(dāng)しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より區(qū)分に該當(dāng)しない。なお、新たな知見に基づき分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間、粉塵):> 16.1 mg/L(ACGIH (7th, 2001)、SIAR (2002)、AICIS IMAP (2018)、CERI有害性評価書 (2008))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當(dāng)しない(國連分類基準(zhǔn)の區(qū)分3)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、閉塞、24時間適用、8日間観察)において、パッチ除去24及び72時間後の全例の平均スコアは、紅斑ではいずれも0、浮腫では2.17及び1.0であった。48時間値は欠測のため、24時間値と同じと仮定して求めた24/48/72時間の全體の平均スコアは紅斑で0.0、浮腫で1.8であった。本物質(zhì)は軽微な (slightly) 刺激性を有するとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、SIAR (2002)、CERI 有害性評価書 (2008)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。 (2)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、原體500 mg、24時間閉塞、72時間観察)において、無傷皮膚では紅斑はみられず、軽微な浮腫(フルスコア4:2.17/4)、有傷皮膚では軽微な紅斑(0.17/4)と軽微な浮腫(1.67/4)がみられ、72時間後には消失した。皮膚刺激指數(shù)は0.1(最高8)と算出され、本物質(zhì)は軽微な (slightly) 刺激性を有するとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、SIAR (2002)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分に該當(dāng)しない。新たな知見に基づき、分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n= 6)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相當(dāng)、8日間観察)では、結(jié)膜のみ影響がみられ、平均刺激スコア(フルスコア:110)は24時間後に6/6例で2/110、48時間後に4/6例で2/110、72時間後に2/6例で2/110、8日後に6/6例で0/110となった(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相當(dāng)、72時間観察)において、各時點における刺激指數(shù)(フルスコア:110)の最高スコアは6/110であった(REACH登録情報 (Accessed Dec. 2021))。 (3)ウサギ(n= 2)を用いた眼刺激性試験(20秒後に洗浄(1例)又は非洗浄(1例)、4時間観察)において、洗浄眼では1時間後に軽微な角膜混濁がみられたが、4時間後には消失した。非洗浄眼では角膜、虹彩、結(jié)膜への影響がみられなかった(SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【參考データ等】 (1)モルモットを用いたDraize法による皮膚感作性試験(誘導(dǎo):3%、惹起:0.3%)では陰性であった(SIAR (2002))。 (2)モルモット(n= 10)を用いたDraize変法による皮膚感作性試験(誘導(dǎo):10%、惹起:10%)では、全例とも陽性反応を示した(SIAR (2002))。 (3)OECDは上記2件のデータの質(zhì)や情報量の少なさから、感作性の結(jié)論を出すことはできないとしている(SIAR (2002))。
生殖細(xì)胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分2とした。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスの脳、肝臓、骨髄を標(biāo)的としたDNA鎖切斷試験(単回腹腔內(nèi)投與、30~100 mg/kg)で陽性、ラットの肝細(xì)胞を用いた付加體形成試験(単回強制経口投與、0.5 mmol/kg)で陰性、ラットの骨髄を用いた染色體異常試験(単回強制経口投與、30~300 mg/kg)で陰性、マウスの骨髄を用いた小核試験(単回腹腔內(nèi)投與、500 mg/kg)で陽性の結(jié)果が得られている(IARC 123 (2020)、AICIS IMAP (2016)、CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002))。 (2)In vitroでは、細(xì)菌復(fù)帰突然変異試験で陽性又は陰性、ほ乳類培養(yǎng)細(xì)胞(CHL、CHO、ヒトリンパ球)を用いた染色體異常試験で陽性又は陰性、マウスリンフォーマ試験で陽性、CHO細(xì)胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性の結(jié)果が得られている(AICIS IMAP (2016)、CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002)、安衛(wèi)法変異原性試験 (Accessed Nov. 2021))。
【參考データ等】 (3)EU CLP (Accessed Nov. 2021) ではMuta. 2に分類されている。
発がん性
【分類根拠】 (1)~(5)より、區(qū)分1Bとした。
【根拠データ】 (1)國內(nèi)外の評価機関による既存分類結(jié)果として、IARCでグループ2Bに(IARC 123 (2020))、日本産業(yè)衛(wèi)生學(xué)會で第2群Bに(産衛(wèi)學(xué)會許容濃度等の勧告 (2020):2015年提案)、ACGIHでA3に(ACGIH (7th, 2001):1995年提案)、EUでCarc. 2に(CLP分類結(jié)果 (Accessed Nov. 2021))、DFGでCategory 3に(List of MAK and BAT values 2020 (Accessed Nov. 2021))、それぞれ分類されている。 (2)ラットを用いた用いた2年間混餌投與(40~1,000 ppm)によるがん原性試験において、雌雄とも脾臓の間葉系組織由來の腫瘍(線維腫、線維肉腫、骨肉腫、肉腫(NOS)、血管肉腫)、副腎の褐色細(xì)胞腫の発生増加が認(rèn)められた。腫瘍発生の用量については、脾臓では雄で200ppm以上、雌では1,000ppmであり、副腎では雌雄とも1,000 ppmと報告された(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991)、MOE初期評価 (2002)、IARC 123 (2020))。 (3)マウスを用いた2年間混餌投與(125~2,000 ppm)によるがん原性試験において、雄に血管腫、悪性リンパ腫及び肝細(xì)胞がん、雌に肝臓の血管肉腫と肝細(xì)胞がんの発生増加が認(rèn)められたが、発生率が低値であることから、がん原性は斷定できないと報告された(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991)、MOE初期評価 (2002)、IARC 123 (2020))。 (4)マウスを用いた21ヵ月間混餌投與(3,000、6,000 ppm)による発がん性試験では、雌雄とも6,000 ppmで血管腫瘍の発生増加が認(rèn)められた。(IARC 123 (2020) 、MOE初期評価 (2002))。 (5)本物質(zhì)は厚生労働省化學(xué)物質(zhì)による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質(zhì)である(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第 207號)。
【參考データ等】 (6)本物質(zhì)の発がん性の作用機序に関しては、遺伝毒性、酸化ストレス、細(xì)胞増殖/細(xì)胞死/栄養(yǎng)供給の変化などが想定されるが、既存知見からはいずれも決定的な強い証拠はなく、中程度の証拠と判斷されている(IARC 123 (2020))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)、(2)より、母動物に軽微な一般毒性影響がみられる用量で生殖発生影響がみられたことから區(qū)分1Bとした。
【根拠データ】 (1)雌ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(5~45 mg/kg/day、妊娠6~19日)において、母動物に體重増加抑制及び脾臓重量増加がみられた最高用量(45 mg/kg/day)で吸収胚數(shù)の増加、胎児に骨格異常(灣曲肋骨、前肢の歪曲)の頻度増加がみられたとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。 (2)マウスを用いた強制経口投與による連続交配試験(62.5~250 mg/kg/day、交配前7日間及び交配期間98日間)において、F0親動物に摂水量の減少、F1親動物にチアノーゼ、肝臓の絶対?相対重量増加、脾臓の腫大及び暗色化がみられる最高用量(250 mg/kg/day)でF0親動物の2回目以降の交配による受胎率の低下が認(rèn)められた。F1、F2児動物には同腹児數(shù)の減少傾向、體重の低値がみられたとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。
【參考データ等】 (3)ラットを用いた強制経口投與による2世代生殖毒性試験(0.1~5 mg/kg/day、交配14週間前から哺育期間中)において、F0親動物に明確な一般毒性がみられない最高用量(5 mg/kg/day)で妊娠率及び雄の受胎率にわずかな減少がみられたが、F1では同様の影響は再現(xiàn)されず、5 mg/kg/dayまで生殖能への有害影響はないと判斷された。F1については、成長後に0.1 mg/kg/day以上で脾臓への影響(髄外造血亢進、褐色細(xì)胞を含んだ網(wǎng)內(nèi)皮細(xì)胞)がみられたが、生殖影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。 (4)雌ウサギを用いた強制経口投與による発生毒性試験(5~40 mg/kg/day、妊娠7~19日)において、最高用量では母動物に過剰毒性(死亡:8/18例)が発現(xiàn)し影響評価から除外された。中用量(15 mg/kg/day)以下では投與に関連した影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2002)、CERI有害性評価書(2008)、AICIS IMAP (2016))。
特定標(biāo)的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)~(3)より區(qū)分1(血液系)とした。また、(4)の各臓器の病理組織所見は本物質(zhì)の血液系影響(溶血性貧血)に伴う二次的影響と判斷した。
【根拠データ】 (1)ヒトの急性中毒癥狀としては、メトヘモグロビン血癥、嘔吐、頭痛のほか、極めて重篤な癥例では虛脫がみられるとの報告がある(SIAR (2002))。 (2)ヒトに対する本物質(zhì)の急性毒性はメトヘモグロビン形成に起因する溶血性貧血のほか、悪心、嘔吐、頭痛などの自覚癥狀が発現(xiàn)する。中毒事例では頭重、頭痛、食欲不振、悪心、めまい、息苦しさ等を自覚癥狀とし、重篤なチアノーゼが認(rèn)められ?メトヘモグロビン濃度の著しい上昇がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008))。 (3)実験動物に対する毒性癥狀としては?チアノーゼ?血尿、呼吸障害がみられるとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008))。 (4)ラット及びマウスの単回経口投與試験における生存例の病理組織所見として、ラットでは脾臓のうっ血、脾臓?肝臓?腎臓?骨髄のヘモジデリン沈著、骨髄の赤血球造血亢進、マウスでは脾臓の髄外造血の程度の増強?うっ血、脾臓?肝臓?骨髄のヘモジデリン沈著がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991))。
特定標(biāo)的臓器毒性 (反復(fù)ばく露)
【分類根拠】 (1)の癥例報告、(2)~(7)の區(qū)分1の用量範(fàn)囲において、血液系影響(溶血性貧血)がみられることから區(qū)分1(血液系)とした。なお、脾臓、肝臓、腎臓、骨髄への影響は血液系影響による二次的影響と考え分類に採用しなかった。
【根拠データ】 (1)本物質(zhì)に吸入ばく露された作業(yè)者でチアノーゼが認(rèn)められた癥例報告がある。これらの癥例では血中ヘモグロビン濃度の低下がみられている(AICIS IMAP (2016)、DFG MAK (1992))。 (2)ラットを用いた強制経口投與による90日間反復(fù)経口投與試験において、3及び10 mg/kg/day以上(區(qū)分1の範(fàn)囲)で血液影響(メトヘモグロビン濃度の上昇、赤血球數(shù)?ヘモグロビン?ヘマトクリット値の減少)、肝臓、腎臓のヘモジデリン沈著及び肝臓の髄外造血、30mg/kg/day(區(qū)分2の範(fàn)囲)で雄に骨髄の過形成と精巣萎縮がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002)、AICIS IMAP (2016))。 (3)ラットを用いた強制経口投與による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、0.7及び5 mg/kg/day(區(qū)分1の範(fàn)囲)で血液影響(軽度貧血、血中メトヘモグロビン濃度の上昇)がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002))。 (4)ラット及びマウスを用いた混餌投與による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、ラットでは200 ppm(10 mg/kg/day、區(qū)分1の範(fàn)囲)で血液影響(貧血を示唆する赤血球パラメータの変化、血小板數(shù)増加)、脾臓影響(うっ血、髄外造血等)、1,000 ppm(50 mg/kg/day、區(qū)分2の範(fàn)囲)で脾臓の線維化、骨髄の造血亢進、雌に副腎(皮質(zhì)?髄質(zhì))の過形成等がみられた。マウスでは500 ppm(75 mg/kg/day、區(qū)分2の範(fàn)囲)でラットと同様の血液影響に加え、肺の病変(細(xì)気管支上皮の増生、肺胞壁肥厚)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (1991))。 (5)マウスを用いた13週間反復(fù)吸入ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、12及び24 ppm(ガイダンス値換算:0.057及び0.11mg/L、區(qū)分2の範(fàn)囲)で脾臓影響(造血細(xì)胞の増殖、色素沈著)、肝臓重量増加、前胃の扁平上皮の過形成(雌)がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002) 、AICIS IMAP (2016))。 (6)ラットを用いた4週間反復(fù)吸入ばく露試験(6時間/日、5日/週)において0.9~7 ppm(ガイダンス値換算:0.001~0.01 m/L、區(qū)分1の範(fàn)囲)で血液影響(チアノーゼ、赤血球パラメータの減少、メトヘモグロビン濃度の上昇、白血球數(shù)増加)、脾臓影響(重量増加?腫大?うっ血?髄外造血及びヘモジデリン沈著)がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002) 、AICIS IMAP (2016))。 (7)ラットを用いた13週間反復(fù)吸入ばく露(試験(6時間/日、5日/週)において、1.5 ppm以上(ガイダンス値換算:0.007 mg/L、區(qū)分1の範(fàn)囲)でメトヘモグロビン濃度の上昇、6~24 ppm(ガイダンス値換算:0.028~0.11 mg/L、區(qū)分2の範(fàn)囲)で脾臓影響(腫大、造血亢進)、腎臓近位尿細(xì)管への影響がみられたとの報告がある(CERI有害性評価書 (2008)、SIAR (2002) 、AICIS IMAP (2016))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。