急性毒性
経口
ラットのLD50値は、1000 mg/kg、1210 mg/kg(環(huán)境省リスク評価vol.6(2008))、2503 mg/kg(SIDS(1996))、1000-2503 mg/kg(NITE初期リスク評価書No.46(2008))であり、區(qū)分4に該當するデータが最も多いことから、區(qū)分4とした。
経皮
ラットLD50値>2000 mg/kg(OECD TG402、GLP)(NITE初期リスク評価書No.46(2008))に基づき、區(qū)分に該當しない(國連分類基準の區(qū)分5または區(qū)分に該當しない)とした。
吸入: ガス
GHSの定義における固體である。
吸入: 蒸気
データなし。
吸入: 粉じん及びミスト
データなし。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギを用いた皮膚刺激性試験(4時間適用)(OECD TG404、GLP)において、皮膚表面の乾燥のみで刺激性はみられない(NITE初期リスク評価書No.46(2008))ことから、區(qū)分に該當しないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験(OECD TG405、GLP)において刺激性はみられず(NITE初期リスク評価書No.46(2008))、SIDS(1996)においても「本物質はウサギの眼に対し刺激性は無かった」と記載されていることから、區(qū)分に該當しないとした。なお、他のウサギを用いた眼刺激性試験において中等度の刺激性(72時間後には刺激性はみられない)が1匹の動物で見られた」(ドレイズ試験)(NITE初期リスク評価書No.46(2008)、BUA No.65(1991))との記載がある。
呼吸器感作性
データなし。
皮膚感作性
化學プラントの労働者31人(対照群として一般人5人)によるパッチテストにおいて、0.1%で3人、0.5%で6人、1.0%で9人に紅斑がみられた(一般人ではいずれの濃度でも紅斑なし)との報告があるが、「この報告のみからアレルギーに関する影響を評価することはできない?!?NITE初期リスク評価書No.46(2008))との記載があり、モルモットを用いたマキシマイゼーション法による試験(GLP)においては、感作性は認められず(NITE初期リスク評価書No.46(2008))、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
in vivoおける試験データがなく、分類できないとした。なお、in vitroにおいては、エームス試験で複數(shù)の陽性結果があるが(厚労省報告(access on Oct. 2009)、NITE初期リスク評価書No.46(2008))、チャイニーズハムスターV79細胞を用いた染色體異常試験及びHGPRT試験は陰性であり(NITE初期リスク評価書No.46(2008))、チャイニーズハムスター培養(yǎng)細胞(CHL/IU)を用いた染色體異常試験の陽性結果(厚労省報告(access on Oct. 2009))は「細胞毒性により染色體を観察できた細胞數(shù)がかなり少なく、結果の信頼性は低い」との記載がある(NITE初期リスク評価書No.46(2008))。
発がん性
【分類根拠】 (1)、(2)より、動物種2種に悪性腫瘍を含む明らかな発がん性の証拠が認められたこと及び(3)より健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質であることを重視し、區(qū)分1Bとした。舊分類からIARC及び日本産業(yè)衛(wèi)生學會の分類が変更されたため、発がん性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投與による2年間がん原性試験において、雄に肝細胞腺腫及び肝細胞腺腫と肝細胞がんを合わせた発生の増加、ジンバル腺腺腫の発生増加、腎臓腫瘍(腎細胞腺腫と腎細胞がんを合わせた発生)の増加、皮膚腫瘍の増加、雌にも子宮腫瘍(乳頭狀腺腫と腺がんを合わせた発生)、乳腺の腺がんの発生増加がみられた。(厚労省委託がん原性試験結果 (2003)、IARC 123 (2020))。 (2)マウスを用いた混餌投與による2年間がん原性試験において、雄に肝細胞がんと肝芽腫、雌に肝細胞腺腫と肝細胞がんの発生増加がみられた(厚労省委託がん原性試験結果 (2003)、IARC 123 (2020))。 (3)本物質は厚生労働省化學物質による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質である(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第27號)。 (4)國內外の評価機関による発がん性分類として、IARCではグループ2B(IARC 123 (2020))、日本産業(yè)衛(wèi)生學會では第2群B(許容濃度等の勧告 (2020):2019年分類)にそれぞれ分類している。
生殖毒性
ラットを用いた経口投與簡易生殖毒性試験(OECD TG421、GLP)において、親動物に一般毒性(流涎など)がみられる用量の1例に死亡仔のみの出産がみられ、これについて「被験物質が周産期の母動物に対して影響を及ぼした結果と推測された?!?厚労省報告(access on Oct. 2009))との記述があり、區(qū)分2とした。なお、発情回數(shù)、交尾率、受胎率、妊娠期間、黃體數(shù)、著床痕數(shù)、著床率、出産率、総出産仔數(shù)、分娩率、死産仔數(shù)、新生仔數(shù)、出生率および性比、哺育4日の剖検に影響はみられなかった。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
経口経路では、ラットを用いた試験において用量2503 mg/kg(LD50値)で平衡感覚の喪失がみられ、ネコを用いた試験において用量25 mg/kg群以上でメトヘモグロビンの形成と軽度のチアノーゼ、用量250 mg/kgで平衡感覚の喪失、腹臥がみられている(いずれもNITE初期リスク評価書No.46(2008))。経皮経路では、ラットを用いた試験において用量2000 mg/kgで自発運動の減少がみられている(BUA No.65(1991))。以上より、分類は區(qū)分1(血液系)、區(qū)分3(麻酔作用)とした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
ラットを用いた経口投與試験(簡易生殖毒性試験(OECD TG421、GLP))において、用量200 mg/kg(90日換算値:91.1 mg/kg)で「自発運動の低下、後肢の伸展、よろめき歩行、腹臥あるいは橫臥、呼吸緩徐、斜頸」(厚労省報告(access on Oct. 2009))、ラットを用いた28日間経口投與試験(OECD TG407、GLP)において、用量250 mg/kg(90日換算値:77.8 mg/kg)で「肝臓重量及びビリルビン値の増加、肝細胞肥大、精巣への影響(精上皮の壊死、無精子癥、精子形成抑制)」(SIDS(1996))、ウサギを用いた21日間経口投與試験において、用量50 mg/kg(90日換算値:11.7 mg/kg)で「腎臓で中等度の影響(混濁腫脹、うっ血)」(NITE初期リスク評価書No.46(2008)、環(huán)境省リスク評価vol.6(2008))、ウサギを用いた15日間経皮投與試験において、用量100 mg/kg(90日換算値:16.7 mg/kg)以上で「赤血球數(shù)およびヘモグロビン量の減少、脾臓の髄外造血亢進、鉄色素の沈著」(NITE初期リスク評価書No.46(2008))等の記述があることから、神経系、肝臓、腎臓、血液系が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、神経系、肝臓、腎臓に関して區(qū)分2、血液系に関して區(qū)分1に相當するガイダンス値の範囲でみられた。以上より、分類は區(qū)分1(血液系)、區(qū)分2(神経系、肝臓、腎臓)とした。なお、ラットを用いた28日間経口投與試験(OECD TG407、GLP)において、用量250 mg/kg(90日換算値:77.8 mg/kg)で「精巣への影響(精上皮の壊死、無精子癥、精子形成抑制)」(SIDS(1996))が見られているが、生殖毒性が區(qū)分2に分類されている事からここでは分類しなかった。
誤えん有害性*
データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。