急性毒性
経口
【分類根拠】 本物質(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)のcis-異性體)自體のデータはない。(1)~(3)より、HHPAのcis-異性體とtrans-異性體の混合物(CAS登録番號:85-42-7)のデータに基づき區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50(HHPA異性體混合物):2,700 mg/kg(AICIS IMAP (2016)) (2)ラットのLD50(HHPA異性體混合物):2,700~2,800 mg/kg(ACGIH (2015)) (3)ラットのLD50(HHPA異性體混合物):4,040 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))
経皮
【分類根拠】 本物質(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)のcis-異性體)自體のデータはない。(1)より、HHPAのcis-異性體とtrans-異性體の混合物(CAS登録番號:85-42-7)のデータに基づき區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50(HHPA異性體混合物):> 2,000 mg/kg(ACGIH (2015)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 異性體混合物がGHSの定義における固體であることから、本物質も固體であると考えられ、區(qū)分に該當しないとした。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 本物質(ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)のcis-異性體)自體のデータはない。(1)より、HHPAのcis-異性體とtrans-異性體の混合物(CAS登録番號:85-42-7)のデータでは區(qū)分を特定できず分類できないとした。
【參考データ等】 (1)ラットのLC50(HHPA異性體混合物)(ダスト、4時間):> 1.1 mg/L(ACGIH (2015)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の知見を用い、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、24時間適用、6日間観察)において、24/72hの全例の平均スコアは紅斑0.0、浮腫0.33であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の本項は、區(qū)分に該當しないと判定されている(2016年度GHS分類結果)。
【參考データ等】 (3)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の6.25~50%溶液について、ウサギを用いた皮膚刺激性試験(24時間適用)において、軽微な刺激性がみられたとの報告がある(ACGIH (2015)、AICIS IMAP (2016))。 (4)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の50%溶液について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(24時間適用)において、適用終了直後に3/6例で浮腫がみられたが、72時間後には刺激癥狀は全くみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の知見を用い、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(21日観察)において、3例の非洗眼群で21日後まで影響が持続したとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、ACGIH (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の本項は、區(qū)分1と判定されている(2016年度GHS分類結果)。
【參考データ等】 (3)本物質及び本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)はともにEUでEye Dam. 1に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2022))。 (4)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(14日観察)において、重度の眼刺激性影響がみられた(角膜混濁スコア:1/1/1.3、虹彩炎スコア:1/1/1、結膜発赤スコア:3/3/3、結膜浮腫スコア:2/3/2.3)との報告がある(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の知見を用い、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)が鼻炎、結膜炎、喘鳴、咳などの初期癥狀に続き、胸部締めつけ感、息切れ、夜間の喘息癥狀を伴う職業(yè)喘息を生じ、発癥は數年遅れて生じる可能性があるという科學的な証拠がある。HHPAへのばく露はばく露が長期化した後には持続性の呼吸器過敏癥を生じるおそれがある。HHPAへの長期ばく露後に職業(yè)性喘息を含む呼吸器疾患の発生がいくつかの疫學研究で報告されており、HHPAが重篤かつ持続性の肺機能障害を生じる可能性が高いことが確認されている(EU REACH SVHC (2012)、ACGIH (2015))。 (2)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の本項は、區(qū)分1と判定されている(2016年度GHS分類結果)。
【參考データ等】 (3)本物質及び本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、ACGIHでは呼吸器感作性物質としてRSENに指定している(ACGIH (2015))。 (4)本物質及び本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、EUではResp. Sens. 1に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2022))。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2)より、本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の知見を用い、區(qū)分1とした。なお、(1)は區(qū)分1Aを示唆する知見であるが、本物質を含む異性體混合物の知見であることから細區(qū)分せず、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(皮內投與:0.5%)において、惹起24、48時間後の陽性率はそれぞれ19/20例(95%)、16/20例(80%)であった(區(qū)分1Aに相當する結果)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)の本項は、區(qū)分1と判定されている(2016年度GHS分類結果)。
【參考データ等】 (3)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、53名に5%溶液を経皮適用したところ、4名で弱い感作性反応、1名で顕著な反応がみられたとの報告がある。(AICIS IMAP (2015))。 (4)本物質及び本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號:85-42-7)について、EUではSkin Sens. 1に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Nov. 2022))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)本物質を含む異性體混合物であるHHPA(CAS登録番號 85-42-7)について、in vivoデータはないが、HHPAは急速に加水分解され、その加水分解物(HHP酸:CAS登録番號:1687-30-5)は腎臓から半減期2時間で排泄される。そのため、細胞內で遺伝物質と相互作用する可能性は低いと考えられる(AICIS IMAP (2016)、ACGIH (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (2)HHPAについて、in vitroでは、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いた復帰突然変異原性試験(OECD TG 471、GLP)、マウスリンパ腫(L5178Y)細胞を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG 476、GLP)及びヒトリンパ球を用いた染色體異常試験(OECD TG 473、GLP)で、代謝活性化の有無に関わらず結果はいずれも陰性であった(AICIS IMAP (2016)、ACGIH (2015)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。
発がん性
【分類根拠】 データがなく分類できない。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)より、本物質を含む異性體混合物であるHHPAでは生殖及び発生に影響はみられていないものの、スクリーニング試験であること、発生毒性試験のデータがないことからデータ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)HHPA(異性體混合物)について、ラットを用いた強制経口投與による生殖発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP)において、限度量の1,000 mg/kg/dayで親動物には明確な一般毒性影響(體重及び摂餌量の低下、脾臓?卵巣重量増加等)がみられたが、親動物の生殖影響並びに出生児には生後7日まで異常はみられなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed 2022))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分3(気道刺激性)とした。なお、新たな知見に基づき分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1)HHPA(異性體混合物)はヒトにおいて、一過性の影響(皮膚、眼、呼吸器への刺激性)がみられ、貧血、頭痛、発熱、めまいなどの一般的な徴候もみられるとの報告がある。(HSDB in PubChem (Accessed Nov. 2022))
【參考データ等】 (2)HHPA(異性體混合物)を被験物質とした、ラットを用いた単回経口投與試験において、2,520 mg/kgで死亡例はなく、癥狀として活動性低下、立毛、運動失調がみられた。LD50が2,700 mg/kgの他試験でも活動性低下、尿失禁がみられただけであったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (3)HHPA(異性體混合物)を被験物質とした、ウサギを用いた単回経皮投與試験において、2,000 mg/kgで適用部位の刺激がみられた以外に癥狀はみられなかったとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。 (4)HHPA(異性體混合物)を被験物質とした、ラットを用いた単回吸入ばく露試験(ダスト、4時間)において、達成可能な最高濃度の1.1 mg/Lでばく露中にみられた癥狀は活動性低下であった(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)より、HHPA(異性體混合物)のデータでは、経口経路では區(qū)分2上限近傍で胃粘膜刺激(局所刺激)のみで、全身毒性は區(qū)分に該當しない範囲でみられた。よって異性體混合物では區(qū)分2までの範囲では全身毒性を生じないと考え、経口経路では區(qū)分に該當しないと判斷した。ただし、他経路では分類に十分な情報がなく、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)HHPA(異性體混合物)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投與による28日間反復経口投與試験において、300 mg/kg/day(90日換算:93.3 mg/kg/day、區(qū)分2の範囲)以上で胃の刺激性変化(胃底腺部の過形成、腺胃部粘膜下の炎癥、非腺胃部の過角化?上皮過形成?血管増生?粘膜及び粘膜下の炎癥?潰瘍)、1,000 mg/kg/day(311 mg/kg/day、區(qū)分に該當しない範囲)で臨床癥狀(死亡、顎をこする動作、流涎、鼻甲介上皮の炎癥細胞を伴う呼吸障害)、血液系(雄:白血球數増加、好中球?好酸球?単球?巨細胞比率の増加)、腎臓(雌雄:尿量?ナトリウム増加、腎皮質尿細管の塩基性化/皮質尿細管拡張、雄:尿素?クレアチニン増加など)等への影響がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Nov. 2022))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。