急性毒性
経口
GHS分類: 區(qū)分外 マウスのLD50値として、3,163 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、HSDB (Access on May 2017)) との報告に基づき、區(qū)分外 (國連分類基準の區(qū)分5) とした。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固體である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固體である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 區(qū)分外 ウサギで紅斑が出現したが、數日後に消失した (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 13 (1999)、ECETOC TR63 (1995)) との記載から軽度の刺激性と判斷し、區(qū)分外 (國連分類基準の區(qū)分3) とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 區(qū)分2A 本物質を適用した動物に対して、結膜に影響がみられたとの記載がある (ACGIH (7th, 2001)、 DFGOT vol. 13 (1999))。また、ホウ酸とホウ素化合物にばく露された113人の作業(yè)者が、対照群に比べて顕著に眼の刺激を訴えたとの報告があることから (ACGIH (7th, 2001)、區(qū)分2Aとした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ホウ酸 (CAS番號 10043-35-3) の分類結果 (分類できない) を參照のこと。
発がん性
GHS分類: 分類できない 本物質自體のデータはないが、無機ホウ素化合物の情報が利用可能と考えられる。無機ホウ酸塩化合物 (無水ホウ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム五水和物、ホウ酸ナトリム十水和物、ホウ酸) に対し、ACGIHはA4に分類している (ACGIH (7th, 2005))。よって、分類できないとした。
生殖毒性
GHS分類: 區(qū)分1B 本物質自體の生殖毒性に関する情報はないが、ホウ素化合物としてホウ酸 (CAS番號 10043-35-3) 及びホウ砂 (Na2B4O7?10H2O、CAS番號 1303-96-4) の情報が利用可能と考えられる。すなわち、マウスにホウ酸を、ラットにホウ酸又はホウ砂を混餌投與した生殖毒性試験で、親動物に一般毒性影響がみられない用量で受精能の低下による不妊が認められた。交差交配試験の結果、マウスでは雄の受精能低下が不妊の原因であったが、ラットでは投與群の雌を対照群の雄と交配させた場合にも完全不妊がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2010))。一方、妊娠ラット又は妊娠マウスの器官形成期にホウ酸を混餌投與した複數の発生毒性試験において、母動物毒性 (體重増加抑制、摂餌量減少など) 発現量で胎児に奇形発生 (第13肋骨の欠損?短縮、側脳室の拡張など) の増加、胎児死亡率、新生児死亡率の増加がみられた (NITE初期リスク評価書 (2008)、ATSDR (2010))。妊娠ウサギの器官形成期にホウ酸を強制経口投與した試験でも母動物に體重の低下がみられる用量で心血管系奇形の増加及び胎児死亡率の増加が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2008))。 以上、本物質もホウ素化合物として、ホウ酸?ホウ砂と同様の生殖発生毒性を示す可能性が考えられ、區(qū)分1Bとした。なお、EUも本物質をRepr. 1B に分類している (ECHA CL Inventory (Access on May 2017))。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 區(qū)分3 (気道刺激性) ヒトでの本物質の単回ばく露の情報はないが、無機ホウ素化合物としてホウ酸 ((CAS番號 10043-35-3)) 及びホウ砂 (Na2B4O7?10H2O、CAS番號 1303-96-4) の情報が利用可能と考えられる。ボランティアによるホウ酸又はホウ砂粉じんの単回吸入ばく露試験で、対照群と比較して鼻汁分泌の有意な増加がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2005)、ATSDR (2010)、DFGOT (2013) (Access on May 2017))。したがって區(qū)分3 (気道刺激性) とした。なお、ばく露回數は不明であるが、米國のホウ酸塩製造工場で本物質あるいはホウ酸のばく露を受けた労働者に対する問診において眼の刺激、呼吸器の刺激 (鼻、口、喉の乾燥、喉の痛み、咳等) が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 13 (1999))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 分類できない ヒトについては、本物質あるいはホウ酸のばく露を受けた労働者に対する問診において眼の刺激、呼吸器の刺激 (鼻、口、喉の乾燥、喉の痛み、咳等) が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol. 13 (1999))。 実験動物では、ラットを用いた10~24週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、區(qū)分2のガイダンス値の範囲を超える470 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.37 mg/L) で影響がみられておらず、イヌを用いた23週間吸入毒性試験 (6時間/日、5日/週) において、區(qū)分2のガイダンス値の範囲內である57 mg/m3 (ガイダンス値換算: 0.04 mg/L) で影響はみられていない (ATSDR (2010)、PATTY (6th, 2012)、環(huán)境省リスク評価第14巻 (2016))。このほか、ラットに10%の本物質水懸濁液を3週間強制経口投與した試験で、區(qū)分2のガイダンス値の範囲である500 mg/kg/day (90日換算値: 83 mg/kg/day) で影響がみられていないとの報告がある (ACGIH (7th, 2001)、Wilding JL et al. (1959) The toxicity of boron oxide. Am Ind Hyg Assoc J. 20: 284-289.) この報告は、試験條件等が十分でないことから分類には用いなかった。 以上、ヒトの呼吸器への影響は急性によるものか反復によるものか不明であること、問診によることから反復ばく露の標的臓器の根拠とするには不十分と考えられる。また、ラットの試験では區(qū)分外に相當するが、イヌの試験では最高用量群が區(qū)分2の上限未満であり、區(qū)分2の上限までの影響は分からない。したがって、區(qū)分外とできず分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。