急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(NICNAS PEC (2014)、AICIS IMAP (2016)) (2)ラットのLD50:3,200~6,400 mg/kgの間(NICNAS (2008)、HSDB in PubChem (Accessed Oct. 2022)) (3)ラットのLD50:>4,400 mg/kg(NICNAS (2008)、HSDB in PubChem (Accessed Oct. 2022))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)モルモットのLD50: > 2,000 mg/kg(NICNAS PEC (2014)) (2)げっ歯類のLD50: > 2,000 mg/kg(AICIS IMAP (2016))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分に該當しない。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(0.00343 mg/L)より高いため、ミストと判斷した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(6時間):8.9~18.4 mg/Lの間(4時間換算値:13.3~27.6 mg/L)(NICNAS PEC (2014))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)の知見は試験條件等の詳細が不明のため、分類には用いなかった。
【參考データ等】 (1)ウサギとモルモットに対して本物質は軽微な皮膚刺激性を有すると示唆される(NICNAS PEC (2014)、AICIS IMAP (2016)、HSDB in PubChem (Accessed Oct. 2022)、Patty (6th, 2012))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)、(2)の知見は試験條件等の詳細が不明のため、分類には用いなかった。
【參考データ等】 (1)ウサギ(n=6)の眼に適用後(洗浄3例、非洗浄3例)、軽微な刺激性を示した(NICNAS (2008))。 (2)本物質はわずかな眼刺激性を生じることが示唆される(NICNAS PEC (2014)、AICIS IMAP (2016)、Patty (6th, 2012))。
呼吸器感作性
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)の知見は試験條件等の詳細が不明のため、分類には用いなかった。
【參考データ等】 (1)モルモット(n=10)を用いた標準的な感作性試験法(詳細不明)において、陽性反応は示されなかったとの報告がある(NICNAS (2008)、NICNAS PEC (2014))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)の陽性結果が(3)の通り遺伝毒性に起因したものではなく催奇形性を含む発生影響と関連した所見と考えられること、腹腔內投與約2,785 mg/kgの投與量であり遺伝毒性における生物學的意義は低いと考えられ、(4)ではヒトに対して変異原性または遺伝毒性を持たないと予想されることから區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、雄マウスを用いた優(yōu)性致死試験(単回腹腔內投與:1.19~2.38 mLg/kg、未処置雌を12週間交配)において、最高投與(2.38 mL/kg(約2,785 mg/kg))群では20%の死亡例がみられ、有意な授精能の低下(妊娠率、妊娠雌當たりの生存胎児數(shù)減少、妊娠雌當たりの著床物數(shù)の減少)及び早期胎児死亡の増加がみられた。本物質は優(yōu)性致死試験で陽性と判斷された(NICNAS (2008)、Health Canada (2009))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験では、ネズミチフス菌TA98では陽性(S9-)又は陰性(S9+)、TA100では代謝活性の有無に関わらず陰性であった(NICNAS PEC (2014))。 (3)(1)の優(yōu)性致死試験の陽性の結果は本物質の遺伝毒性に起因したものではなく、催奇形性を含む発生影響と関連した所見と考えられる(NICNAS PEC (2014)、AICIS IMAP (2016))。 (4)証拠の重み付け及びフタル酸エステル類の一般的な非遺伝毒性プロファイルに基づき、ヒトに対して変異原性または遺伝毒性を持たないと予想される(IARC (2011))。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【參考データ等】 (1)雄ラットに本物質300~900 ppm(15~45 mg/kg/day)で2年間混餌投與した限定的な長期投與毒性試験では異常は認められなかった(NICNAS PEC (2014)、Health Canada (2009)、Patty (6th, 2012))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)より、母動物毒性がない用量で明確な発生毒性(胚?胎児吸収、生後死亡の増加、奇形発生増加)がみられ、催奇形性は(2)の多くの腹腔內投與試験で確認された。また、(3)、(4)より、雄ラットの経口投與試験で精巣?精子への強い有害影響が認められた。これらの影響は本物質の主代謝物である2-メトキシエタノール(別名:エチレングリコールメチルエーテル)の生殖発生影響と同様であった。以上より、區(qū)分1Bとした。
【根拠データ】 (1)雌ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(妊娠6~15日、60~600 mg/kg/day)において、母動物毒性のみられない低及び中用量群では、出生児に生後の生存率低下(生後1日(中用量以上)及び5日目)及び體重増加量の減少がみられ、中用量群では9腹中3腹の胎児4例に外表異常(腰仙部短縮、無尾、糸狀尾)がみられ、他の母動物では出生児の食殺が多くみられた。母動物毒性(體重低値、摂餌量減少及び癥狀(活動性低下、水分の少ない糞排泄))がみられた高用量群では、妊娠率、著床率ともに対照群と差異はなかったが、全妊娠腹で完全な全胎児吸収がみられたとの報告がある(SIDS Robust Summary (2009)、Health Canada (2009)、NICNAS PEC (2014))。 (2)雌ラットを用いた腹腔內投與による発生毒性試験(妊娠5、10又は15日のいずれか1日、438~1,457 mg/kg)において、低用量から用量に相関した胎児吸収率の増加及び著床部位當たりの生存児數(shù)の減少がみられ、胎児には低體重、外表異常及び骨格異常発生頻度の増加がみられた。この他、雌ラットの器官形成期に1日のみ腹腔內投與した3試験で、胎児毒性(吸収又は死亡胎児の発生頻度)の増加と外表?內臓?骨格奇形発生の増加がみられたとの報告がある(SIDS Robust Summary (2009)、Health Canada (2009)、NICNAS (2008))。 (3)雄ラットを用いた単回経口投與試験において、區(qū)分2の1,500及び2,000 mg/kgで精巣重量減少、精子頭部異常(真っ直ぐな頭部、過度な灣曲、ひだ狀、螺旋狀、細い、あるいは不定形の頭部、細長い又は先細りの頭部、及び短い頭部)及び精巣g當たりの精子頭部數(shù)の増加がみられたとの報告がある(SIDS Robust Summery (2009)、Health Canada (2009)、NICNAS PEC (2014)、NICNAS (2008))。 (4)雄ラットを用いたの強制経口投與試験(12日間(試験期間:16日間、純度78%)において、100 mg/kg/day以上で、ヘモグロビン及びヘマトクリットの軽度減少、胸腺髄質の軽微な出血、1,000 mg/kg/dayでは、血液系(総白血球數(shù)?血小板數(shù)?赤血球數(shù)の減少、顆粒球の軽度増加等)、胸腺(重量減少?萎縮)、精巣(重量減少?萎縮、精細管萎縮、精子と精巣上體の変性、巨大精子細胞の出現(xiàn))への影響等がみられたとの報告がある(SIDS Robust Summery (2009)、Health Canada (2009)、NICNAS PEC (2014)、NICNAS (2008))。
【參考データ等】 (5)本物質はEU CLPでRepr. 1Bに分類されており、本物質の主代謝物である2-メトキシエタノール(CAS番號 109-86-4)もRepr. 1Bに分類されている。 (6)本物質の主代謝物である2-メトキシエタノール(CAS番號:109-86-4)は、區(qū)分1Bに分類されている(政府GHS分類結果 (2014年度))
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分2(生殖器(男性)) とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)を用いた単回経口投與試験において、1,500及び2,000 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で精巣重量減少、精子頭部異常(真っ直ぐな頭部、過度な灣曲、ひだ狀、螺旋狀、細い、あるいは不定形の頭部、細長い又は先細りの頭部、及び短い頭部)及び精巣グラムあたりの精子頭部數(shù)の増加がみられたとの報告がある(SIDS Robust Summery (2009)、Health Canada (2009)、NICNAS (2008))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分2の用量範囲で血液系への影響がみられることから、區(qū)分2(血液系)とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)を用いた強制経口投與による12日間反復経口投與試験(純度78%)において、100 mg/kg/day(90日換算値:13.3 mg/kg/day、區(qū)分2の範囲)以上でヘモグロビン及びヘマトクリットの軽度減少、胸腺髄質の軽微な出血がみられ、1,000 mg/kg/day(90日換算値:133 mg/kg/day、區(qū)分に該當しない範囲)で血液系(総白血球數(shù)?血小板數(shù)?赤血球數(shù)の減少、顆粒球の軽度増加等)、胸腺(重量減少?萎縮)、精巣(重量減少?萎縮、精細管萎縮、精子と精巣上體の変性、巨大精子細胞の出現(xiàn))への影響等がみられたとの報告がある(SIDS Robust Summery (2009)、SIAP (2009)、Health Canada (2009)、NICNAS (2008)、NICNAS PEC (2014))。
誤えん有害性*
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。