急性毒性
経口
ラットのLD50値約1000 mg/kg(IUCLID(2000)、1100 mg/kg(HSDB(2000))に基づき、區(qū)分4とした。
経皮
ウサギのLD50値>2000 mg/kg(IUCLID(2000)、>3g/kg(HSDB(2000)はJIS分類基準(zhǔn)の區(qū)分に該當(dāng)しない(國連分類基準(zhǔn)の區(qū)分5または區(qū)分に該當(dāng)しない)である。
吸入: ガス
GHS定義における固體である。
吸入: 蒸気
データなし。
吸入: 粉じん及びミスト
ラットのLC50値>5mg/L(4時間)(IUCLID(2000))はJIS分類基準(zhǔn)の區(qū)分に該當(dāng)しない(國連分類基準(zhǔn)の區(qū)分5または區(qū)分に該當(dāng)しない)である。なお、飽和蒸気濃度は1.17×10-5mg/Lであることから試験は粉塵により実施されたと考えられる。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギを用いた試験(Directive 84/449/EEC)で刺激性なし(not irritating)(IUCLID(2000))に基づき區(qū)分に該當(dāng)しないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた試験(Directive 84/449/EEC)で刺激性なし(not irritating)(IUCLID(2000))に基づき區(qū)分に該當(dāng)しないとした。
呼吸器感作性
データなし。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分1Aとした。なお、新たな評価に基づき、分類結(jié)果を変更した。CLH Report(2021)にてSkin Sens. 1Aが提案されたため、舊分類から皮膚感作性項目を見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)OECD TG 406では、経皮感作に用いる濃度は軽度~中程度の皮膚刺激を生じ、惹起時には皮膚刺激を生じない最高濃度を適用するとされている。(3)(4)の試験における、経皮感作及び惹起時の適用濃度(25%)は、予備試験において1例も皮膚刺激性がみられておらず、低すぎる。従って、得られた陰性の結(jié)果は疑わしい。(2)の試験では、予備試験時に40%の濃度でも皮膚刺激性はみられなかったが、本試験時には経皮感作40%、惹起20%で90%の動物に軽微~中程度の紅斑及と軽微~明瞭な紅斑がみられ、40%濃度では3例に壊死もみられた。以上から、(2)の試験が皮膚感作性を評価する上で最も信頼性の高い試験法であると考えられる。このことから、CLH Reportにおいて、本物質(zhì)の皮膚感作性の分類はSkin Sens. 1Aが提案されている(CLH Report (2021))。 (2)モルモット(n = 10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮內(nèi)投與:1%溶液)において、惹起濃度20%、40%のいずれの濃度においても、惹起後24、48及び72時間後の陽性率は100%(10/10例)であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2012)、CLH Report (2011))。
【參考データ等】 (3)モルモット(n = 20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮內(nèi)投與:3%溶液)において、惹起後24、48時間後の陽性率はともに0%であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2012)、CLH Report (2011))。 (4)モルモット(n = 10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮內(nèi)投與:1%溶液)において、惹起後24、48時間後の陽性率はともに0%であったとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2012)、CLH Report (2011))。 (5)(3)、(4)の2つの試験結(jié)果は皮膚感作性がないことを示唆した。しかし、(2)の試験では、全動物で惹起後に皮膚反応(軽微~中程度の紅斑及と軽微~明瞭な紅斑)がみられた。矛盾する結(jié)果を説明可能な試験間の差異は明らかにできなかった。以上の結(jié)果に基づき、本物質(zhì)の皮膚感作性の可能性は否定できない(ECHA RAC Opinion (2012))。
生殖細胞変異原性
體細胞を用いるin vivo変異原性試験(マウスの骨髄細胞を用いる小核試験(OECD Guide-line 474))で陰性(IUCLID(2000))の報告に基づき區(qū)分に該當(dāng)しないとした。なお、in vitro試験であるエームズテストで陰性、染色體異常試験で陽性(IUCLID(2000))の報告もある。
発がん性
ラットを用いた23ヶ月の混餌投與試験(OECD Guide-line 453)で病理検査で腸、リンパ節(jié)、肺に異常が見られたが、がん原性なし。マウスを用いた18ヶ月の混餌投與(OECD Guide-line 451)で精巣、肝臓、消化管で異常が見られたが、がん原性なし(IUCLID(2000))の報告に基づき、區(qū)分に該當(dāng)しないとした。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)~(3)の生殖毒性試験において、親動物の一般毒性発現(xiàn)用量で、雌親動物に性機能及び生殖への影響(黃體形成?黃體數(shù)?著床數(shù)の減少、著床後胚損失増加等)、児動物に生存率低下がみられた。(4)~(5)のラットの発生毒性試験において、母動物毒性用量で、胎児に骨格変異、內(nèi)臓変異がみられたものの、明確な奇形発生はみられなかった。(6)~(8)のウサギを用いた発生毒性試験では、母動物の一般毒性用量において低頻度であるが、(6)で口蓋裂の発生、(8)で骨格奇形の報告がある。以上、母動物に軽微な一般毒性影響がみられる用量で生殖影響、及び奇形発生の懸念が示されていることから區(qū)分1Bとした。新たな情報源を利用し分類した。舊分類からECHA CLPの分類が追加されたため、生殖毒性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投與による2世代生殖毒性試験(100~1,500 ppm)において、P及びF1親動物に顕著な一般毒性影響(P及びF1雌雄:體重増加抑制、F1雌雄:摂餌量減少、尾の壊死?潰瘍?末端欠損等)がみられる高用量(1,500 ppm)で、F1児動物に同腹生存児數(shù)減少、生後4日の生存率低下がみられたが、F2児動物には低體重がみられただけであったとの報告がある(食安委 農(nóng)薬評価書 (2019)、農(nóng)薬抄録 (2014)、CLH Report (2011、2021))。 (2)ラットを用いた混餌投與による2世代生殖毒性試験(150~1,350 ppm)において、P及びF1雌雄親動物に體重増加抑制、摂餌量減少(P雄以外)がみられる高用量(1,350 ppm)で、F1雌親動物に黃體形成、著床數(shù)、著床後胚損失率及び生存児率の減少がみられた。F1、F2児動物には中用量以上で低體重、高用量でF1に生存児數(shù)減少がみられたとの報告がある(食安委 農(nóng)薬評価書 (2019)、EFSA (2008)、CLH Report (2011、2021))。 (3)ラットを用いた混餌投與による1世代生殖毒性試験(750~3,000 ppm)において、P雌親動物には中用量(1,500 ppm)以上で體重増加抑制、摂餌量減少がみられ、高用量(3,000 ppm)では雌に妊娠率低下、黃體數(shù)?著床數(shù)減少、著床前及び著床後胚損失の増加、同腹児數(shù)減少、雄に両側(cè)性の小型/脆弱な精巣(5/15例)がみられた。F1児動物には低用量から低體重がみられただけであったとの報告がある(CLH Report (2021))。 (4)雌ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(10~150 mg/kg/day、妊娠6~15日)において、母動物には25 mg/kg/day以上で體重増加抑制及び摂餌量減少がみられ、最高用量(150 mg/kg/day)で生存胎児數(shù)減少?吸収胚増加がみられた。胎児には25 mg/kg/day以上で骨化遅延(頭蓋骨、椎骨)、最高用量では加えて低體重、骨化遅延(胸骨分節(jié)、骨盤)と骨格変異(波狀肋骨)の発生増加がみられたとの報告がある(食安委 農(nóng)薬評価書 (2019)、農(nóng)薬抄録 (2014)、EFSA (2008)、CLH Report (2011、2021))。 (5)雌ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(30~120 mg/kg/day、妊娠6~15日)において、母動物には體重増加抑制及び摂餌量低下がみられる高用量(120 mg/kg/day)で、後期吸収胚、著床後胚損失率及び吸収胚數(shù)増加がみられた。胎児には低用量から骨化遅延(第7頚椎?趾節(jié)骨?胸骨分節(jié)等)、骨格変異(胸骨分節(jié)形成不全?亜鈴型胸椎椎體増加?過剰肋骨)、內(nèi)臓変異(腎盂拡張)、高用量は加えて低體重、骨化遅延(指節(jié)骨、尾椎)?胸椎椎體分離の増加などがみられたが、明確な奇形発生はみられなかったとの報告がある(食安委 農(nóng)薬評価書 (2019)、CLH Report (2011、2021))。 (6)雌ウサギを用いた強制経口投與による発生毒性試験(1~32 mg/kg/day、妊娠6~18日)において、體重減少が認(rèn)められた母動物2例からの胎児2例(1.7%)に口蓋裂が認(rèn)められた(食安委 農(nóng)薬評価書 (2019)、農(nóng)薬抄録 (2014)、EFSA (2008)、CLH Report (2011、2021))。 (7)雌ウサギを用いた強制経口投與による発生毒性試験(5~25 mg/kg/day、妊娠6~18日)において、母動物に體重増加抑制及び摂餌量減少がみられる高用量で、內(nèi)臓異常(心室拡張及び腎盂拡張)、骨格変異(13浮遊肋骨増加)及び骨化遅延(前肢中節(jié)骨)の発生増加がみられたとの報告がある(食安委 農(nóng)薬評価書 (2019)、EFSA (2008)、CLH Report (2011、2021))。 (8)雌ウサギを用いた強制経口投與による発生毒性試験(8~32 mg/kg/day、妊娠6~18日)において、母動物に體重増加抑制、耳の觸感體溫低下がみられる高用量で、骨格奇形(上頸部から中胸部の間の椎骨の変化)の増加がみられたとの報告がある(CLH Report (2011、2021))。
【參考データ等】 (9)雌ラットの妊娠6日~哺育21日に強制経口投與された発達神経毒性試験(5~100 mg/kg/day)では、顕著な母動物毒性(體重増加抑制、全児死亡雌の増加等)がみられる高量まで児動物に発達神経毒性は認(rèn)められなかった(食安委 農(nóng)薬評価書 (2019)、CLH Report (2011、2021))。 (10)EUではRepr. 2に分類されている(CLP分類結(jié)果 (Accessed Nov. 2011))。 (11)EUでのCLP分類見直しにおいて、2011年の前回提案からRepr. 1Bへ変更すべき重大な知見の追加はなく、Repr. 2で據(jù)え置く提案書が報告されている(CLH Report (2021))が、これに対するRACの意見書は2021年12月現(xiàn)在公表されていない。
特定標(biāo)的臓器毒性 (単回ばく露)
データなし。
特定標(biāo)的臓器毒性 (反復(fù)ばく露)
ラットを用いた90日の混餌投與試験(OECD Guide-line 408)で體重、臓器重量の減少が見られるが區(qū)分2のガイダンス値外である(IUCLID(2000))。また、イヌを用いた90日の混餌投與試験(OECD Guide-line 409)で排泄、體重増、臓器重量に影響があったが(IUCLID(2000))、いずれも區(qū)分2のガイダンス値外か區(qū)分に該當(dāng)しない(経口)に該當(dāng)するが、他経路のデータがなくデータ不足で分類できないとした。
誤えん有害性*
データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。