急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分3とした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50(純度71%):25~200 mg/kgの間(25 mg/kgで0/10例、200 mg/kgで全例死亡、100%換算:17.75~142 mg/kg)(OECD TG 401、GLP)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022)) (2)ラットのLD50(純度71%):50~200 mg/kgの間(50 mg/kgで0/6例、200 mg/kgで全例死亡、100%換算:35.5~142 mg/kg)(OECD TG 423、GLP)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))
【參考データ等】 (3)本物質は、非常に吸濕性が高く酸化しやすいため、71%水溶液として製造されている。(SIAR (2009))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分を特定できず、分類できない。
【參考データ等】 (1)ラットのLD50(純度71%):> 2,000 mg/kg(100%換算値:1,420 mg/kg)(OECD TG 402、GLP)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022)) (2)ウサギのLD50(純度71%):> 200 mg/kg(100%換算値:142 mg/kg)(SIAR (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)本物質71%溶液について、ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、GLP、半閉塞、4時間適用、6日間観察)において、2例で軽微な紅斑がみられたが、みられた影響は6日以內に回復した(紅斑?痂皮スコア:1/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
【參考データ等】 (2)本物質71%溶液について、ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(閉塞、24時間適用)において、6例中3例が試験中に死亡した。生存例3例の無傷皮膚における24/72h後の紅斑?痂皮スコアの平均は3.0、3.0、3.0であり、浮腫スコアの平均は2.5、3.0、2.5であったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (3)ヒトの皮膚刺激性及び感作性について、本物質の14.4~18%溶液を用いた多數の研究(上腕又は背中の皮膚に対する反復侵襲パッチテスト)と本物質を4.4%含有した整髪製品を用いた研究が報告されている。これらの試験では誘導期の最初數回の適用で皮膚反応のために、多くの人が試験から脫落した。皮膚反応のほとんどは軽微であったが、視認可能な発赤又は紅斑(スコア(4段階):0~1)であった。一方、軽度の紅斑(スコア:1/4)又は中等度の紅斑(スコア:2/4)の癥例もみられた(SIAR (2009))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)本物質71%溶液について、ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405、GLP、72時間観察)において、全例で軽度の結膜影響がみられたが、みられた影響は72時間以內に回復した(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0.7/1/1、結膜浮腫スコア:0.7/0.7/0.7)との報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (2)本物質71%溶液について、ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(7日間観察)において、全例で結膜発赤がみられたが、7日以內に回復した(24/48/72h後の角膜混濁スコアの平均:0、虹彩炎スコアの平均:0、結膜発赤スコアの平均:2.6、結膜浮腫スコアの平均:0)との報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
呼吸器感作性
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分1Aとした。
【根拠データ】 (1)マウス(n=5/群)を用いた局所リンパ節(jié)試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指數(SI値)は2.7(0.5%)7.0(8%)、全例死亡のため測定不能(20%)であり、EC3値は0.65%と算出されたとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
【參考データ等】 (2)メルカプト酢酸の塩、特に本物質を含む製品を用いて作業(yè)する理容師で多くの皮膚感作癥例が報告されている(AICIS IMAP (2014))。 (3)ヒトの皮膚刺激性及び感作性について、本物質の14.4~18%溶液を用いた多數の研究(上腕又は背中の皮膚に対する反復侵襲パッチテスト)と本物質を4.4%含有した整髪製品を用いた研究が報告されている。誘導期及び誘発期を完了した被験者のうち、いずれかの期間に皮膚反応を生じた割合は9~47%であり、4試験のうちアレルギー性接觸皮膚炎様の2癥例が発生したとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)In vitroでは、本物質(71%水溶液)について、細菌を用いた復帰突然変異試験(OECD TG471、GLP)、及びマウスリンパ腫L5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験で陰性の結果であった(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。 (2)In vivoでは、チオグリコール酸ナトリウム(CAS番號 367-51-1:純度99.4%)について、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(単回経口投與、最大250 mg/kg)では陰性の結果であった(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。 (3)チオグリコール酸(CAS番號 68-11-1)の80.2%水溶液(pH 4)について、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(2日間経皮投與、雄:最大1,000 mg/kg、雌:同500 mg/kg)では、雌雄とも最高用量まで小核誘発の増加は認められず、陰性と判斷された(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。
【參考データ等】 (4)チオグリコール酸ナトリウム(純度99%)について、マウスの末梢血を用いた小核試験(13週間経皮投與、最大360 mg/kg)では、雄は陰性であったが、雌は最高投與群で小核を有する正染性赤血球の比率の有意な増加がみられ陽性と判斷された。なお、チオグリコール酸はin vitroで染色體異常を誘発せず、チオグリコール酸ナトリウムは最大耐用量まで経皮および経口経路で急性投與した場合、染色體異常誘発性の証拠を示さなかったため、この結果は疑わしいと報告されている。(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【參考データ等】 (1)チオグリコール酸ナトリウム(CAS番號 367-51-1)について、マウスを用いた経皮投與による発がん性試験において、投與群(1.0 %(6.6 mg/kg/day)、2.0%(13.3 mg/kg/day))、対照群ともに様々な臓器に腫瘍発生がみられたが、投與群と対照群との間で腫瘍発生頻度に有意な差はみられなかった。表皮の腫瘍はみられなかったと報告されている(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)より、本物質はナトリウム塩のデータを使用して分類を行った。(2)、(3)より、ナトリウム塩を用いた経口投與による生殖毒性試験では、雌親動物に約24~40%の高死亡率が生じた高用量群で二次的影響として生殖発生影響がみられたものの、中用量群では親動物、児動物ともに明瞭な毒性影響はみられなかった。(4)~(6)より、本物質又はナトリウム塩を用いた経口及び経皮投與による発生毒性試験では、母動物の致死用量でも胎児には無影響か軽微な影響に限られた。以上より、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1)本物質を含むメルカプト酸の塩は溶液中で解離し、メルカプト酢酸アニオンと毒性の低い金屬カチオン(カルシウム、アンモニウム、カリウム、ストロンチウム、ナトリウム)を生成するとの報告がある(AICIS IMAP (2014))。 (2)チオグリコール酸ナトリウム(CAS番號 367-51-1)について、ラットを用いた強制経口投與による二世代生殖毒性試験(OECD TG416、10~40 mg/kg/day)において、最高用量(40 mg/kg/day)ではF0親動物に著しい一般毒性影響として、死亡(雌:4/25例)、肝門脈域の空胞化(雄:2/25例、雌:6/25例)、血中脂肪酸濃度の低下(雌)がみられたが、生殖能には有害影響はみられなかったとの報告がある。同群のF1及びF2児動物には親動物毒性の二次的影響とみられる生存率低下がみられた以外に発生影響はみられなかったとの報告がある。なお、母毒性のNOAELは20mg/kg/day、生殖毒性のNOAELは20mg/kg/dayとされたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (3)チオグリコール酸ナトリウム(CAS番號 367-51-1:純度98.9%)について、ラットを用いた強制経口投與による生殖発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP、20~80 mg/kg/day)では、中用量(40 mg/kg/day)以上で親動物に流涎がみられ、死亡例が中用量で雌1/12例に、高用量(80 mg/kg/day)で雄2/12例、雌5/12例にみられたとの報告がある。生殖発生影響として、妊娠期間の延長、著床數?産児數の減少、黃體數の低値傾向、全胚吸収雌(1例)、精嚢相対重量低値が高用量群でみられたとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (4)本物質(71%水溶液)について、ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(OECD TG414、GLP、3~75 mg/kg bw/d)において、最高用量(75 mg/kg/day)で母動物毒性(死亡2/25例、営巣行動増加)がみられたが、胎児に発生影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (5)チオグリコール酸ナトリウムについて、ラットを用いた経皮投與による発生毒性試験(OECD TG414、6時間/日、50~200 mg/kg bw/d)において、母動物で局所影響以外に死亡(1/25例)及び體重増加抑制がみられた高用量(200 mg/kg/day)で、胎児に低體重がみられたのみであったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。 (6)チオグリコール酸ナトリウムについて、ウサギを用いた経皮投與による発生毒性試験(OECD TG414、6時間/日、10~65 mg/kg bw/d)において、最高用量(65 mg/kg/day)まで母動物に局所影響(紅斑)のみがみられ、胎児にも影響はみられなかったとの報告がある(SIAR (2009)、AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed 2022))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、経口経路において區(qū)分1の用量範囲で標的臓器を特定できない影響がみられることから、區(qū)分1(全身毒性)とした。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた2つの単回経口投與試験(純度71%)において、200 mg/kg(區(qū)分1の範囲)で全例が死亡し、死亡前に活動性低下、握力?四肢?體幹の緊張低下、呼吸數低下、呼吸困難等がみられ、剖検で消化管刺激の所見、肺気腫等がみられたとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
【參考データ等】 (2)ラットを用いた単回経皮投與試験(純度71%)において、2,000 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で死亡例も癥狀発現(xiàn)もみられなかったとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。 (3)チオグリコール酸(CASRN:68-11-1)を被験物質とした、ラットを用いた単回吸入ばく露試験において、LC50(蒸気、4時間)は1.98 mg/L(雄)、1.09 mg/L(雌)であり、癥狀として不規(guī)則?努力呼吸、被毛粗剛、運動性低下、後肢の振戦?麻痺がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、SIAR (2009))。 (4)急性または反復投與毒性試験で観察された死亡及び全身毒性は、主にミトコンドリアにおける脂肪酸のβ酸化阻害によって生じた結果であると結論付けている (SIAR (2009))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 本項は、チオグリコール酸ナトリウム(CASRN:367-51-1)のデータに基づき分類した。(1)、(2)より、區(qū)分2の用量範囲で血液系、肝臓への影響がみられることから區(qū)分2(血液系、肝臓)とした。
【根拠データ】 (1)チオグリコール酸ナトリウム(46.1%水溶液)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投與による13週間反復経口投與試験(OECD TG 408、GLP)において、60 mg/kg/day(區(qū)分2の範囲)で血液系(総白血球數?リンパ球?白血球各分畫の減少、赤血球數?ヘモグロビン?ヘマトクリットの減少、PTの増加、脾臓及び肝臓における髄外造血)及び肝臓(AST?ALT?脂肪酸の増加、小葉構造明瞭化、門脈周囲肝細胞の微細空胞化(中性脂質包含)、単細胞壊死等)、心筋(変性性心筋癥(雌1例))、腎臓(血中尿素の増加、クレアチニン増加(雄のみ)、近位尿細管空胞化(雌のみ))への影響がみられたとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、AICIS IMAP (2014))。 (2)チオグリコール酸ナトリウム(46.1%水溶液)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投與による二世代生殖毒性試験(OECD TG 416、GLP、交配前10週間投與)において、40 mg/kg/day(區(qū)分2の範囲)で肝細胞の微細空胞化(雄2/25例、雌6/25例)、尿素の減少(雄)、脂肪酸の減少(雌)がみられ、肝臓の微細空胞化を生じた妊娠雌6例中の4例が死亡、殘り2例も切迫と殺されたとの報告がある(AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
【參考データ等】 (3)チオグリコール酸ナトリウム(純度99%)を被験物質とした、ラットとマウスを用いた13週間反復経皮投與試験(5日/週)において、ラットでは11.25 mg/kg/day(區(qū)分2の範囲)以上、マウスでは22.5 mg/kg/day(區(qū)分2の範囲)以上で適用部位皮膚の傷害(表皮?皮脂腺の過形成、錯角化癥、過角化、炎癥)がみられた。その他、肝臓、腎臓等に臓器重量変化がみられたが病理組織學的に変化は認められず、標的臓器は投與部位皮膚のみと判斷されたとの報告がある(SIAR & SIDS Dossier (2009)、AICIS IMAP (2014))。
誤えん有害性*
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。