急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2) より、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (JECFA FAS54 (2006)) (2) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (最高用量の11,390 mg/kgまで死亡例なしと記載) (REACH登録情報 (Access on June 2020))
経皮
【分類根拠】 (1) より、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1) ウサギのLD50: > 5,000 mg/kg (REACH登録情報 (Access on June 2020))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當しないとした。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)~(3) より、區(qū)分2とした。
【根拠データ】 (1) 本物質はヒトに対して刺激性を有し、本物質へのばく露は皮膚炎や結膜炎を引き起こす (NTP TR557 (2010))。 (2) 本物質は中等度の皮膚及び眼刺激性物質である (HSDB (Access on May 2020))。 (3) ECVAM protocol version 1.8 (2009) に準拠し人工皮膚モデル (EPISKIN ) を用いたin vitro皮膚刺激性試験において、刺激物と判定されている (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)~(3) より、區(qū)分2Aとした。新しいデータ (1) が得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) OECD TG 405に準拠したウサギ (3匹) を用いた眼刺激性試験で適用24/48/72時間後における結膜発赤で1例及び結膜浮腫で2例の平均スコアは2以上であり、全ての反応は8日後に消失した (REACH登録情報 (Access on June 2020))。 (2) 本物質はヒトに対して刺激性を有し、本物質へのばく露は皮膚炎や結膜炎を引き起こす (NTP TR557 (2010))。 (3) 本物質は中等度の皮膚及び眼刺激性物質である (HSDB (Access on May 2020))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 (1) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。
【參考データ等】 (1) 醸造所の検査官として雇用されている男性 (1名) が、ホップ中の本物質に対する呼吸器過敏癥反応を示したと報告されている (HSDB (Access on May 2020))。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1) より、區(qū)分に該當しないとした。新しいデータが得られたことから分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) TG 429に準拠したマウス局所リンパ節(jié)試験 (LLNA) においてSI値は3を上回らず、陰性と判定された (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2) より、區(qū)分に該當しないとした。
【根拠データ】 (1) in vivoでは、ラットに単回経口投與後の骨髄細胞を用いた染色體異常試験で陰性 (IARC 119 (2019)、JECFA FAS54 (2006))。マウスに13週間経口投與後の末梢血赤血球を用いた小核試験で陰性の報告がある (IARC 119 (2019)、NTP TR557 (2010)、JECFA FAS54 (2006)、HSDB (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020))。 (2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性 (IARC 119 (2019)、NTP TR557 (2010)、JECFA FAS54 (2006)、HSDB (Access on May 2020)、CEBS (Access on May 2020))。ヒトリンパ球を用いた染色體異常試験及び姉妹染色分體交換試験、チャイニーズハムスターV79細胞を用いた遺伝子突然変異試験及び姉妹染色分體交換試験、ラットの肝腫瘍細胞の姉妹染色分體交換試験で、いずれも陰性の報告がある (IARC 119 (2019)、JECFA FAS54 (2006))。
発がん性
【分類根拠】 (1)、(2) より、區(qū)分2とした。
【根拠データ】 (1) 國內外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ2B (IARC 119 (2019))、産衛(wèi)學會で第2群B (産業(yè)衛(wèi)生學會誌許容濃度の勧告 (2018年提案)) に分類されている。 (2) 雌雄のラットに本物質を2年間強制経口投與した発がん性試験において、雄ラットで腎尿細管腫瘍 (腺腫又はがん) の発生率の有意な増加が、雄マウスで肝細胞腺腫、肝細胞がん及び肝芽腫の発生率の有意な増加が認められた。雌ラットでは腎尿細管腫瘍の発生率の僅かな増加、雌マウスでは肝細胞腫瘍の発生率の僅かな増加が認められた。これらより、本物質の発がん性に関して、雄のラット及びマウスには明らかな証拠 (clear evidence) が、雌のラット及びマウスには曖昧な証拠 (equivocal evidence) があると結論された (NTP TR557 (2010))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)~(3) より、區(qū)分1Bとした。なお、データを見直し、骨格奇形の発現(xiàn)を重視したこと、(3) の試験では舊分類と異なり母動物毒性がみられない用量において生殖発生影響がみられていたことにより舊分類から分類結果を変更した。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた強制経口投與による1世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (肝臓及び腎臓重量増加等) 用量で吸収胚の増加とそれに伴う生存胎児數(shù)の減少、骨格奇形を有する胎児數(shù)の増加がみられた (JECFA FAS54 (2006))。 (2) 雌ラットの妊娠6~15日に強制経口投與した発生毒性試験において、母動物毒性 (體重増加抑制、死亡 (1例)) がみられる用量で、著床痕數(shù)及び生存胎児數(shù)減少、骨化遅延及び骨格奇形を伴う胎児増加がみられている (JECFA FAS54 (2006))。 (3) 雌ラットの妊娠15日目から出生後21日まで強制経口投與した周産期授乳期投與試験において、母動物の一般毒性 (體重減少、前胃の角化癥) のみられる用量よりも低い用量で、分娩期間及び死産數(shù)増加、児動物の出生體重の減少、生後死亡率増加 (特に授乳1週目)、発達指標の遅延がみられている (JECFA FAS54 (2006))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)、(2) より、経口経路及び経皮経路では區(qū)分に該當しない。しかし、吸入経路について情報がなく分類できないとした。
【根拠データ】 (1) ラットを用いた単回強制経口投與毒性試験 (用量:670~11,390 mg/kg) において、死亡はみられず、一般狀態(tài)として1,000~11,390 mg/kgで立毛のみがみられ、剖検において異常は認められていない (REACH登録情報 (Access on June 2020))。 (2) ウサギを用いた単回経皮投與毒性試験 (用量:5,000 mg/kg) において、死亡及び全身影響は認められず、一過性に軽度から中程度の紅斑と浮腫がみられ、剖検では異常はみられていない (REACH登録情報 (Access on June 2020))。
【參考データ等】 (3) マウスに経口経路での鎮(zhèn)痛作用のED50が16 mg/kgとの報告、本物質で処理されたマウスは、ホットプレートテストで抗侵害受容反応 (鎮(zhèn)痛作用) の増加を示したとの報告がある (NTP TR557 (2010))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。 (1)~(4) のデータがあり、いずれの試験も區(qū)分2超の用量で試験が実施され、(1)、(2) においては、區(qū)分2超の最低用量まで影響がみられているが、ガイダンス値範囲上限における影響が不明のため分類できないとした。
【參考データ等】 (1) ラットを用いた14週間強制経口投與毒性試験 (用量範囲: 250~4,000 mg/kg/day) において、最低用量である250 mg/kg/day (90日換算: 194 mg/kg/day、區(qū)分2超) 以上の雌雄で尿細管壊死、雄で尿細管の硝子滴の蓄積、500 mg/kg/day (90日換算: 389 mg/kg/day、區(qū)分2超) 以上の雄で死亡、體重減少、ハーダー腺におけるポルフィリン色素沈著の増加、1,000 mg/kg/day (90日換算: 778 mg/kg/day、區(qū)分2超) 以上の雌雄で鼻の慢性炎癥の増加、ネフローゼ、雌で腸間膜リンパ節(jié)萎縮、2,000 mg/kg/day (90日換算: 1,556 mg/kg/day、區(qū)分2超) の雌雄で嗅上皮の変性、脾臓の萎縮、雄で腸間膜リンパ節(jié)萎縮、雌で死亡、前胃の急性炎癥、4,000 mg/kg/day (90日換算: 3,111 mg/kg/day、區(qū)分2超) の雌雄で全例死亡がみられている (NTP TR557 (2010))。 (2) ラットを用いた105週間強制経口投與毒性試験 (用量範囲: 250~1,000 mg/kg/day) において、最低用量である250 mg/kg/day (區(qū)分2超) 以上の雌雄で腎臓の腎盂の移行上皮過形成、腎臓の限局性化膿性炎癥、雄で腎尿細管ネフローゼ、腎乳頭の石灰化、雌で腎癥の増加、500 mg/kg/day (區(qū)分2超) 以上の雌雄で腎癥の重篤度増加、雄で鼻の慢性活動性炎癥、前胃の慢性活動性炎癥、雌で腎尿細管ネフローゼ、1,000 mg/kg/day (區(qū)分2超) の雄で全例死亡がみられている (NTP TR557 (2010))。 (3) マウスを用いた14週間強制経口投與毒性試験 (用量範囲: 250~4,000 mg/kg/day) において、500 mg/kg/day (90日換算: 389 mg/kg/day、區(qū)分2超) 以上の雌で肝臓重量増加、1,000 mg/kg/day (90日換算: 778 mg/kg/day、區(qū)分2超) の雄で體重減少、雌で腎臓重量増加、2,000 mg/kg/day (90日換算: 1,556 mg/kg/day、區(qū)分2超) で死亡 (雄: 9/10例、雌: 8/10例)、4,000 mg/kg/day (90日換算: 3,111 mg/kg/day、區(qū)分2超) の雌雄で全例死亡がみられている (NTP TR557 (2010))。 (4) マウス用いた105週間強制経口投與毒性試験 (用量範囲: 250~1,000 mg/kg/day) において、500 mg/kg/day (區(qū)分2超) の雌雄で肝細胞肥大、雌で體重減少、骨髄萎縮、脾臓のリンパ濾胞の萎縮、前胃の炎癥及び上皮の過形成、1,000 mg/kg/day (區(qū)分2超) の雌雄で生存率低下、雄で體重減少がみられている (NTP TR557 (2010))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の內容に変更はない。