急性毒性
経口
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義におけるガスである。
経皮
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義におけるガスである。
吸入:ガス
GHS分類: 區(qū)分外 ラットの4時間吸入試験のLC50値として、129,000 ppm (ACGIH (7th, 2001)、EU-RAR (2002)、NITE有害性評価書 (2008)、ATSDR (2012)) との報告に基づき、區(qū)分外とした。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義におけるガスである。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義におけるガスである。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、液化1,3-ブタジエンの接觸により、皮膚に凍傷を起こした事例報告がある (NITE有害性評価書 (2008), ATSDR (2012))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 區(qū)分2 本物質 (ガス) をマウスに90,000~140,000 ppm、ウサギに 150,000~250,000 ppm ばく露させた眼刺激性試験で、結膜炎又は流涙を生じたとの報告 (EU-RAR (2002)) や、本物質 (ガス) に2,000 ppmで7時間、又は4,000 ppmで6時間ばく露された労働者に眼刺激がみられたとの事例 (ATSDR (2012)、EU-RAR (2002)) があり、ヒトと動物に眼刺激性を示すと考えられることから、區(qū)分2とした。なお、常溫でブタジエンはガス狀であるため通常の眼刺激性試験を行うことはできないとの記載がある (EU-RAR (2002))。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 區(qū)分1B In vivoでは、マウスの優(yōu)性致死試験で陽性、マウスの相互転座試験で陽性、マウスの骨髄細胞、末梢血を用いた小核試験で陽性、ラットの骨髄細胞、末梢血を用いた小核試験で陰性、マウスの骨髄細胞を用いる染色體異常試験で陽性、ラットの骨髄細胞を用いる染色體異常試験で陰性、マウススポットテストで陽性、トランスジェニックマウス遺伝子突然変異試験では骨髄細胞、脾臓細胞で陽性、マウスの脾臓Tリンパ球を用いた遺伝子突然変異試験で陽性、マウスの生殖細胞を用いた小核試験、染色體異常試験で陽性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分體交換試験で陽性、マウス、ラットの肝臓、肺、精巣を用いたDNA損傷試験で陽性、マウス、ラットの肝臓を用いた不定期DNA合成試験で陰性である (NITE有害性評価書 (2008)、CICAD 30 (2001)、ATSDR (2012)、EU-RAR (2002)、CaPSAR (1999)) 。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の結果、哺乳類培養(yǎng)細胞のマウスリンフォーマ試験で陰性、姉妹染色分體交換試験で陽性、陰性の結果である (NITE有害性評価書 (2008)、ATSDR (2012)、EU-RAR (2002)) 。以上より、ガイダンスに従い區(qū)分1Bとした。
発がん性
GHS分類: 區(qū)分1A スチレン-ブタジエンゴム製造産業(yè)での疫學研究から、職業(yè)ばく露による白血病の過剰が示され、ブタジエンへの累積ばく露量との間に用量相関関係のあることが明らかにされた。また、ブタジエンモノマー産業(yè)からの研究で職業(yè)ばく露による白血病と悪性リンパ腫の過剰が示された (IARC 100F (2012))。一方、実験動物ではラット及びマウスの吸入ばく露による発がん性試験で、両種の雌雄いずれにも複數の臓器に腫瘍発生の増加が認められた (IARC 100F (2012))。IARCはヒト、実験動物ともに発がん性の十分な証拠があるとして、本物質をグループ1に分類した (IARC 100F (2012))。その他、NTPがKに (NTP RoC (14th, 2016))、EPAがCaHに (IRIS (2002))、EUがCarc. 1Aに (ECHA CL Inventory (Access on June 2017))、日本産業(yè)衛(wèi)生學會が第1群に (許容濃度の勧告 (2016): 2001年提案) それぞれ分類している。以上より、區(qū)分1Aとした。
生殖毒性
GHS分類: 區(qū)分1B 雄マウスに200~5,000 ppm を5日間吸入ばく露後に無処置雌と交配させた試験では、200 ppm以上で子宮內胎児死亡を示した雌數の増加がみられた (ATSDR (2012))。また、雄マウスに65 ppm を4週間、又は12.5 ppm を10週間吸入ばく露後に、いずれも無処置雌と交配させた2つの試験において、前者では早期胎児死亡の増加、後者では後期胎児死亡の増加と外脳癥及び骨格異常がみられた (ATSDR (2012))。一方、妊娠ラット又は妊娠マウスの器官形成期 (妊娠6~15日) に最大1,000 ppm を吸入ばく露した発生毒性試験では、1,000 ppm ばく露群でもラットで異常はみられず、マウスでも軽微な影響 (胎児體重の低値、過剰肋骨、骨化遅延) がみられただけであった (ATSDR (2012)、NITE有害性評価書 (2008)、EU-RAR (2002))。しかし、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6~15日) に最大8,000 ppm を吸入ばく露した発生毒性試験では、200 ppm以上で母動物に體重増加抑制、1,000 ppm以上で胎児に骨格異常 (波狀肋骨) の頻度増加、8,000 ppm ではさらに胎児に頭蓋骨?脊椎骨?胸骨?長骨?肋骨を含む重大な骨格異常 (major skeletal defects) の頻度増加がみられた (ATSDR (2012)、NITE有害性評価書 (2008)、EU-RAR (2002))。 以上、雄マウスに吸入ばく露後に無処置雌と交配させた3つの試験において、親動物に一般毒性影響のない用量で胎児死亡の増加がみられ、うち1試験では外表奇形及び骨格異常がみられた。骨格異常は妊娠ラットの器官形成期に高濃度をばく露した発生毒性試験でも検出されている。よって、本項は區(qū)分1Bとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 區(qū)分3 (気道刺激性、麻酔作用) ヒトでは、ゴム製造工場での作業(yè)中に本物質にばく露した労働者が鼻と喉の刺激を訴え、咳と眠気も一部に認められたが、これらの癥狀はばく露が終わるとともに消失したとの報告がある (EU-RAR (2002)、ATSDR (2012))。また、ボランティアによる試験で、10,000 ppm、5分間のばく露で、鼻と喉の軽微な刺激と乾燥がみられたとの報告がある (EU-RAR (2002))。実験動物ではマウスの単回吸入ばく露試験で、100,000 ppmでは影響がみられなかったが、150,000 ppmで軽度の麻酔作用がみられ、200,000 ppmでは6~12分のばく露で興奮に続いて麻酔狀態(tài)に至ったとの報告 (ACGIH (7th, 2001))、及びラットの単回吸入ばく露試験で、129,000 ppm、1時間のばく露で深麻酔狀態(tài)に至ったとの報告 (EU-RAR (2002)) がある。また、ウサギの単回吸入ばく露試験で、250,000 ppm、25~30分のばく露で、麻酔狀態(tài)を経て死亡したが、非常に短時間のばく露の場合には、急速に回復したとの報告がある (ACGIH (7th, 2001))。更に、本物質は50年以上前から、比較的弱い中樞神経抑制性物質として知られて來たとの記述がある (ACGIH (7th, 2001))。以上の情報から區(qū)分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 區(qū)分1 (生殖器 (女性))、區(qū)分2 (心臓、血液系、肝臓) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、マウスを用いた2年間吸入毒性試験において、區(qū)分1のガイダンス値の範囲內である6.25 ppm以上で卵巣萎縮、20 ppm以上で生存率減少、區(qū)分2のガイダンス値の範囲內である62.5 ppm以上で胸腺萎縮、心筋の鉱質化、大球性貧血、肝臓の小葉中心性壊死、區(qū)分2のガイダンス値の範囲を超える625 ppmで骨髄萎縮、精巣萎縮等がみられたとの報告がある (NITE有害性評価書 (2008)、NTP TR434 (1993))。 したがって、區(qū)分1 (生殖器 (女性))、區(qū)分2 (心臓、血液系、肝臓) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義におけるガスである。